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福岡高等裁判所 昭和39年(ラ)203号 決定

付帯抗告人

岡崎宣善

代理人

石井幸雄

主文

本件付帯抗告を却下する。

付帯抗告費用は付帯抗告人の負担とする。

理由

地方裁判所が第一審としてなした決定に対して抗告がなされ、本件のように抗告裁判所が言渡しによる告知の方法をとらないで、決定をなした場合における付帯抗告は、これを理論と実務の両面から考え、抗告裁判所の決定が成立する時までに申立つべきものと解するを相当とする。しかして言渡されない決定は、決定原本が裁判所書記官に交付された時に成立するものと解されているから(大審院昭和一〇年(ク)第四八四号同年四月二三日第五民事部決定判例集一四巻四六一頁。同昭和一一年(ク)第二五〇号同年四月一七日第五民事部決定同一五巻九八五頁参照)、本件付抗告は結局当裁判所の決定原本が裁判所書記官に交付された時までに、申立てられなければならない。ところで抗告人内藤年雄の申立てた抗告事件につき当裁判所のなした決定原本が裁判所書記官に交付されたのは、昭和三九年一二月三日であり、付帯抗告はその後の同月五日申立てられたことは、当裁判所に顕著であるから、本件付帯抗告は不適法であつて却下を免れない。

よつて付帯抗告費用の負担につき、民訴第九五条第八九条に従い主文のとおり決定する。(裁判長裁判官池畑祐治 裁判官秦旦 佐藤秀)

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